「ざっくり」わかる相続税の計算方法

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承継二郎
相続税がいくらくらいかかるのか、どうやって計算するんですか?
貝井
今回は、相続税の計算方法を「ざっくり」ご説明いたします。

 

財産(資産と負債)を全て把握

まずは、被相続人の財産をすべて把握します。

資産には、現預金、自社株式、不動産などが含まれます。

ここで、注意すべきは、会社への貸付金です。

中小企業では、経営者が会社に対して貸付をしていることがよくあると思いますが、これは相続税上の資産にあたります。

一方、負債には、借入金などが含まれますが、注意すべきは、連帯保証債務は相続税を考えるうえでの負債にはあたりません。

 

たとえば、Aさんがお亡くなりになられた場合、Aさんが保有していた資産・負債は以下のようなものだったとします。

なお、Aさんは会社を経営しており、自社株式を保有していたとします。

 

Aさんの資産・負債

預金 300万円
自社株式 1,000万円(出資価額)
上場株式 500万円(購入時)
不動産(自宅) 3,000万円(購入時)
金融機関からの借入金 200万円

 

課税価格を算出

財産をすべて把握したら、次は課税価格を算出します。

課税価格とは、ざっくり言うと、相続税法上の財産評価額です。

所得に所得税率をかけて、所得税を計算するのと同様に、課税価格に相続税率をかけて、相続税を算出します。

 

では、Aさんの場合の課税価格はいくらでしょうか?

預金 300万円
自社株式 +1,000万円
上場株式 +500万円
不動産(自宅) +3,000万円
金融機関からの借入金 -200万円
合計 4,600万円

 

と計算して、4,600万円!

。。。。ではありません。このように計算しないようにしてください(笑)。

 

なぜなら、購入したときの価格と、相続税法上の課税価額は異なっています。

たとえば、昭和30年代に10万円で購入した土地は、平成30年の現在においては、数億円になっていることもおかしくありません。

逆に、バブル期の購入した土地は、購入時の5分の1とかになっていることも珍しくありません。

このような現状を無視して、購入時の価格で相続税を課税すると、公平ではありません。

従って、現状になるべく沿うように、相続税法上の課税価額は決定されます。

どのような評価が行われるかは、財産の内容ごとに相続税法で決定されます。

 

わかりやすいのは、上場株式です。

Aさんの上場株式が、購入時に@500×1万株=500万円 だったとしましょう。

相続時の株価が@800であった場合、@800×1万株=800万円 が課税価格です。

 

ややこしいのが自社株式と不動産です。

のちほど、それぞれ個別に詳しく説明しますので、今回は割愛します。

計算した結果が、自社株式21,900万円、不動産(自宅)が2,000万円だったと仮定しておきます。

これらの相続税法上の評価が、非常に複雑である、ということだけ覚えておいてください。

 

さて、Aさんの財産の課税価格は以下のように算出されました。

預金 300万円
自社株式 +21,900万円
上場株式 +800万円
不動産(自宅) +2,000万円
金融機関からの借入金 -200万円
合計 24,800万円

 

以上より、Aさんの財産の課税価格は、2億4,800万円です。

基礎控除

課税価格から、相続人の人数に応じて、「基礎控除」をすることができます。

所得税において、「扶養控除」などの控除が受けられるように、相続税においても、「基礎控除」をうけることができます。

基礎控除は以下の式で算出されます。

基礎控除額・・・3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

Aさんには、妻(B)と子2人(CとD)がいたとしましょう。

このときの基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人(B・C・D)=4,800万円 と計算されます。

 

よって、Aさんの財産遺産総額は、24,800万円-4,800万円(基礎控除)=20,000万円 と計算されます。

 

Aさんの財産の課税遺産総額は、2億円となります。

 

相続税の総額を算出

課税遺産総額が決定したので、次に相続税の総額を算出します。

相続税の総額を計算するにあたっては、まず、各相続人に民法の原則(法定相続分)に従って、財産を相続したと仮定した場合のそれぞれの相続税額を算出します。

そして、仮定の各相続人の法人税額を合計することで、相続税の総額を求めます。

総額を求めるのに、各個人の相続税を求める、とかなにやら、ややこしいですね。

 

Aさんの例で考えてみましょう

民法の原則に則ると、Aさんの財産は以下のように相続されます。

妻 Bさん 1/2

子 Cさん 1/4

子 Dさん 1/4

 

これに従って、各相続人にAさんの財産2億円(課税遺産総額)を相続したとしましょう。

妻 Bさん 2億円 × 1/2 = 1億円

子 Cさん 2億円 × 1/4 = 5,000万円

子 Dさん 2億円 × 1/4 = 5,000万円

 

ここから、各相続人の相続税額を算出します。

算出には、以下の早見表を用います。これも所得税と同様でしょう。

国税庁HP(No.4155 相続税の税率)より

【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

では、具体的に計算してみましょう。

妻 Bさん 1億円 × 30% - 700万円 = 2,300万円

子 Cさん 5,000万円 × 20% - 200万円 = 800万円

子 Dさん 5,000万円 × 20% - 200万円 = 800万円

 

各人の相続税額を合計します。

2,300万円(Aさん)+800万円(Bさん)+800万円(Cさん)=3,900万円

 

以上から、相続税の総額は、3,900万円です。

 

2.5億円の相続財産がある場合、だいたい15%が、相続税で持っていかれることになります。

相続税は累進課税ですので、相続財産が多額になるほど、相続税も増加していき、最大で55%を持っていかれることになります。

 

遺産相続後に各相続人の相続税を算出

相続税の総額が、3,900万円と算出されました。

Bさん(妻)2,300万円、Cさん(子)800万円、Dさん800万円をそれぞれ納付してめでたしめでたし。

。。。とはなりません(笑)。

なぜなら、実際の相続による財産の配分によって、個人の相続税額は異なってくるからです。

相続税の総額(Aさんの場合3,900万円)を、各相続人が相続した財産の割合に応じて負担します。

 

では、Aさんの会社の後継者なので、Cさんは自社株式すべてと借入金を相続したとします。

Bさんは不動産(自宅)を相続して、Dさんはそれ以外の預金と上場株式を相続したとします。

もちろん、実際には、民法上は遺留分(各相続人が最低限、相続を主張できる財産)があり、このような極端な相続財産の分配は難しいのです。

また、配偶者控除という制度があり、配偶者には、課税価格1億6千万円まで相続税がかかりません。

しかし、今回は話を簡単にするために、遺留分や配偶者控除は無視します。

 

各相続人が相続する財産の課税価格は以下のようになります。

Bさんの相続財産 不動産(自宅) 2,000万円

Cさんの相続財産 自社株式 21,900万円 - 借入金 200万円 = 21,700万円

Dさんの相続財産 現預金 300万円 + 上場株式 800万円 = 1,100万円

 

ここで、Bさんに、さきほど仮に算出した相続税額2,300万円を負担させるのは酷なことがわかるでしょう。

 

そこで、相続税の総額 3,900万円を、相続した財産の割合で、各相続人に負担させます。

 

Aさんの相続税額 3,900万円 × 2,000万円/24,800万円 ≒ 315万円

Bさんの相続税額 3,900万円 × 21,700万円/24,800万円 ≒ 3,412万円

Cさんの相続税額 3,900万円 × 1,100万円/24,800万円 ≒ 173万円

 

相続税の総額3,900万円を、Aさん315万円、Bさん3,412万円、Cさん173万円に配分することができました。

これにて、相続税の算出は完了です。

まとめ

相続税の算出は、財産(資産と負債)を全て把握 → 課税価格を算出 → 基礎控除 → 相続税の総額を算出→ 遺産相続後に各相続人の相続税を算出 というプロセスで行います。

今回は割愛していますが、自社株式や不動産の評価がややこしく、相続財産の配分にあたっては、遺留分や配偶者控除などの特例も考慮しなければなりません。

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